日記

女子大生が暇つぶしにはじめるブログ

台風で死ぬ前に

2019年10月12日台風19号が日本を襲う予定である。東京は水没するかもしれない。今回の台風はかつてないほどの大きさの台風で、日本壊滅もありえるらしい。もしかしたら今が最後の夜なのかもしれない。東京が沈んだら、もれなく私たちは全員揃ってあの世行きだ。

 

 

今日が最後の日、そう考えれば感慨も湧くというもの。あー明日全て終わるとしたら何がしたいんだろう。最後の晩餐は何を食べようかとか最後に誰の声を聞きたいだとか色々考えてみたけど、何も思いつかなくて結局いつも通りの夜ご飯を食べて、いつも通り12時にベッドに潜った。

 

しばらくぼーっとしていたら、不意に馬鹿話のできる友達と無性に話したくなったから、電話をかけた。高校の時の同級生で、3年ほど前から週1程度で1時間、どうでもいい話を延々としているような関係の友達だ。彼は生活習慣が乱れに乱れているので、何時LINEしても基本的に返ってくる。

 

LINE電話で3コール。

 

あ、もしもしと相手が出た。深夜1時だったにも関わらず彼は起きていた。やっぱり台風来たね、窓には養生テープ貼るんだよ。話題はやっぱり台風のことでもちきりだった。家が吹っ飛ばされませんようにと笑いながら願った。何を話したかったかは自分でも分からなかったが、そういう時に何を話すわけでもなくどうでもいい話を出来る友達は貴重だ。

 

窓を開ける。予想外に雨はまだ降っていなくて、生ぬるい風が吹いていた。これの12時間後には大規模災害を引き起こすほどの暴風雨になるなんて信じられないなあと思いながら、その一方で家の防災バッグの準備を確認したりした。重い灰色の雲が立ち込めた空は私の心まで憂鬱にさせた。

 

だらだらと先日リリースされたばかりのマリオカートを操作しながら、話す。何も考えずに思ったことを言っているだけだが、意外と会話は続くのだ。

 

気がつけば、1時間半経っていた。あーあ、こんなに話すつもりじゃなかったのになあ。と生活習慣の乱れを反省して、軽く挨拶して電話を切った。笑いながら喋りながら笑っていたから口元にはまだ笑みが残っている。

 

なんだか楽しい気分になって、わりとどうでもよくなった。馬鹿話をしたのもそうだし、明日で世界が終わるかもしれないのもそうだし、とにかくもう何もかもを笑って許せる気がした。テンションが上がって踊りたくなったので、ダンシングヒーローをBGMに1人でダンスした。リズムに合わせてステップをてきとうに踏む。ダンスのルールなんて知らない。傍から見たら馬鹿に見えるんだろう。でもそれはそれで別にどうでもよかった。

 

 

台風でさ、私たち死んじゃうかもしれないね。でも死ぬ前にあなたと話せて良かった。と柄にもないことを思った。もちろん本人には口が裂けても言わないけれど。